2025.05.02 | 過去のブログ
生徒から教わったこと①-1
『100%を教えてくれた生徒 ~Rさんとの物語~』
「高校って行ったほうがいいんですか?」
それが、Rさんから私への最初の質問だった。 出会い 
Rさんは、八幡山が開校して3期目となる年に、入塾してきた中学3年生だった。最初の出会いは、4月の終わり頃。私はいつも通り、こう問いかけた。「なぜ、塾を探そうと思ったのですか?何かきっかけがありましたか?」すると、彼女はまっすぐ私を見て、はっきりと答えた。「高校入試に対応できる力をつけたいと思って。」この答えに、私は少し驚いた。多くの生徒が「成績を上げたい」「志望校に受かりたい」と答える中、彼女は“力をつけたい”と言ったのだ。その時点で、彼女がただの「点数アップ」や「合格」だけを目指していないことがわかった。念のため、中学2年生の学年末成績を確認すると、オール5。この段階で、都立高校ならどこでも狙える力を持っていた。「行きたい高校はある?」と聞くと、「まだ決まってないです。でも入試って、学校のテストとは違うんですよね?」と、彼女は少し不安そうに言った。「まあね。学校のテストは範囲が決まっているけれど、入試は広い範囲から出題されるから。だけど、都立高校の問題はある程度パターンが決まっているから、対策は立てやすいよ。まずは色々な高校を見に行って、自分に合う学校を探してみるといいよ。」そんな話をしていたときだった。彼女はふと、少しだけ声を潜めてこう尋ねた。「ひとつ聞いてもいいですか?」「どうぞ、何でも聞いてもらっていいよ。」「あの、高校って行ったほうがいいんですか?」 ほう、そんな質問をしてくるんだ。こんな率直な疑問を中3の春に聞かれるとは思っていなかったから少し驚いた。けれど、すぐに答えた。「そうだね。高校は義務教育ではないので、必ずしも行く必要はないね。ところで、Rさんは何かやりたいことや将来の夢ってあるの?」「まったくないです。」「それなら、悪いことは言わないから高校へは行きな。むしろ、将来やりたいことがまだ決まっていない人こそ、
高校へ進学した方がいい。選択肢を広げておくためにもね。」彼女は、静かに、でもしっかりとうなずいた。この面談を終えたとき、私はすぐに、彼女の担当講師をN講師に決めた。成績を上げることだけを求めているのではない。もっと本質的な、一体何のために、、、そういったことを求めている気がしたからだった。 Rさんの学び方
最初に授業をしたとき、彼女の理解スピードは意外にも「普通より少し速い」くらいだった。正直、もっと処理能力の高い生徒も見てきたので、Rさんに特別なスピードを感じたわけではない。しかし、通い始めてしばらくして、彼女の異質さに気づくことになる。まず、彼女は納得するまで絶対に質問をやめなかった。しかも一人の講師に質問するだけではない。その場にいる他の講師にも聞いて廻り、自分の中で「わかった」と確信できるまで、徹底的に質問をした。
絶対にわかったつもりで終わらせることはなかった。
そして、もう一つ驚かされたのは、一度できるようになった問題は、二度と間違えない、ということだった。普通、どれだけできる子でも、たまにはケアレスミスやうっかりした間違いをする。でも、彼女にはそれがなかった。完璧になるまで、自分に向き合い続けていたのだ。さらに、定期テストの前には、彼女はまるで別人のようになった。普段は明るく、誰にでも気さくに話しかけるRさんだったが、テスト前になると、こちらが声を掛けるのをためらうほどの集中力を放ち、空気ごと変わったかのような、凛とした雰囲気をまとっていた。その姿を見たとき、私は、彼女の成績の裏にある「本当の努力」を垣間見た。
次回に続く