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人それぞれに苦難に直面することは多々あります。
その時に、「自分ばかりがこんなに不幸になるなんて、神様なんていないんだ!」と思いたくもなるでしょう。
かつてアーサー・アッシュというアメリカの黒人テニスプレーヤーがいました。
1975年、黒人で初めてウィンブルドンの覇者となり、人権擁護運動にも従事した人格者です。
しかし1988年に心臓手術により行った輸血によりエイズに感染してしまいます。
その後1993年に49歳という若さで死去しました。
彼は著書の中で述べています。
「よく善意の人々が私に、病気になった時「なぜ、私が?」と疑問に思ったことはないか、ときく。私は一度もそのように考えたことはない。もし、心臓病やエイズに襲われた時、「なぜ、私が?」と思うのなら、幸運だった時にも、自分にそれを享受する権利があるのかどうかを疑問に思わなければならない。」(「静かな闘い」)
もし、不幸な出来事を「なぜ?」と神に詰問する資格があるなら、私たちは別の質問にも答えなければならないのかもしれません。
なぜ、善意にあふれた人たちが周りにいるのか。
なぜ、自分のことを大切に思ってくれる家族や友人、恩師がいるのか。
なぜ、食べるものに困らない豊かな時代に生きていられるのか。
なぜ、進みたいと思った道に進める環境が用意されているのか。
いくつか降りかかる不幸な出来事に「なぜ」と問いかけるならば、その何倍もあるはずの良きことにも「なぜ」と問うべきではないでしょうか。
新学期スタート。学校やクラスメイト、先生など不安な要素はあるかもしれません。
しかし嫌な出来事ばかりでなく、良きことに目を向けるようにしましょう。
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