2024都立高校入試分析・解説 社会

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2024都立高校入試分析・解説 社会

2024.02.28 | 受験

2024都立高校入試分析・解説 社会

2024都立高校入試分析・解説 社会
2024年度都立高校入試問題分析・解説
社会

問題・正答表は、東京都教育委員会のHPからご確認頂けます。

◆大問1(基礎問題)15点分
〔問1*〕地理B~E地点と写真を合わせる問題は、2019年にも出題されました。
このタイプの問題は、どこからどこへ進んでいるのかを理解していれば、後は文章と照らし合わせるだけです。

〔問2〕歴史一般的な一問一答形式の歴史の知識問題です。御成敗式目:飢饉の混乱を鎮める目的 大宝律令:律令政治のしくみ 武家諸法度:大名統制のための決まり

〔問3〕公民一般的な一問一答形式の公民の知識問題です。

≪大問1の総評≫
大問1は毎年基礎的な知識のみで解ける問題が出題されるので、しっかり点数を取りたいですね。
ここで点数を落としていては、勉強不足と言わざるを得ない問題です。

◆大問2(世界地理)15点分
〔問1*〕雨温図 地図文章と雨温図を組み合わせる問題。
資料Ⅰに「各月の平均気温の変化は年間を通して小さい」という点から雨温図は『イかエ』であることが分かる。また、「2019年におけるコーヒー豆の生産量は世界第5位」という箇所で地図が『C(エチオピア)』と分かる。
そこから、エチオピアが高山気候であることを知っていれば『イ』に決められるでしょう。

〔問2*〕農産物
国と農業の特徴を組み合わせる問題。
ア「とうもろこしの粉から作った生地を焼き、具材を挟んだ料理」=Pメキシコ *タコス
イ「小麦粉から作った面に様々なソースを合わせた料理」=Sイタリア *パスタ
ウ「さとうきび」=Qフィジー *砂糖などが有名
エ「米が主食」=Rタイ *唯一のアジア州で米を連想できる
イ=S、エ=Rは早々に確定できる。
その後、隣国のアメリカもとうもろこしの生産が盛んなことからア=Pという考え方もできる。
残ったウ=Qと組み合わせるのが簡単かと思います。

〔問3*〕農産物
輸入輸出国と農作物・貿易相手国の特徴を組み合わせる問題。
まずは、資料Ⅲを読んでグラフを決める。
1「日本の輸入額は2倍には届いてはいないが増加」=2倍に近いと読み取る
2「輸出は3倍以上となっている。」
3「輸出額が多い上位3位までの貿易相手国は全て同じ地域の政治・経済統合体の加盟国」=ヨーロッパ
上記3文から、グラフは『ア』だと分かるだろう。そして、国名だが「輸出額が多い上位3位までの貿易相手国がヨーロッパ」という点から、『Z(オランダ)』ということが分かると思う。「沿岸部の砂丘では花」=チューリップ から、オランダと分かる人もいるでしょう。

≪大問2総評≫
問1の雨温図の問題は、毎年出題されているので、国々の気候と国々の有名な産業は必ず暗記しておきたい。
問2は、昨年度より分かりやすいヒントがあったので、正解できた生徒も多いのではないでしょうか。
世界の国々の国名は勿論のこと、産業・工業などもしっかり覚えておいてほしいです。
問3では、グラフは最低でも文章をきちんと読めば正解できるので、国名とのマッチが鍵。
やはりこの問題も国の特徴を勉強していないと結び付けることは難しいでしょう。

◆大問3(日本地理)15点分
〔問1*〕農産物
第一産業都道府県と自然環境と第一次産業の特徴を組み合わせる問題。
第一次産業:農業・林業、漁業など
第二次産業:製造業、建設業、鉱業など
第三次産業:小売業、宿泊業、飲食サービス業、医療・福祉業、金融業、情報通信業など
という区分に分けられる。
イ「有数の茶の生産量を誇る」=B静岡
ウ「稲作が適しており、銘柄米が生産されている」=A秋田
エ「火山灰などが積もってできた大地」=D鹿児島
と分かりやすい説明があるので、上記3つはすぐに組み合わせられると思う。
なので、残りのア=C奈良。

〔問2*〕工業
人口都道府県と工業や人口の様子の特徴を組み合わせる問題。
まずは資料Ⅱを読んで県を絞っていく。「国内最大規模の石油コンビナートを有する工業地域」=京葉工業地域=W(千葉)石油・化学の割合が多いのは『ア』と分かる。
「2020年における~従業・通学者数の割合は1割以上」=『アかエ』

〔問3記述〕交通
記述問題での鉄則は「誰が読んでも分かるように書く」ことと「お題に沿った内容を書く」です。
まず、少しくどくても丁寧に資料に載っている言葉を使うこと。
問題文に「現状と比較し」「自宅からの移動方法に着目」と指示があるので、それを必ず意識して書く。
・現状では、食品スーパーや病院が徒歩圏になく、自動車を使用しなければいけない状況。
・将来は、食品スーパーや病院が徒歩圏に移動し、公共交通を使って移動することができる。
上記2点を把握できれば、簡単に書けたと思います。

≪大問3総評≫
日本地理も例年通りの出題方式は変わっていない。
しかし、問3の記述問題がしばらくは完答問題として出題されていた箇所が、1つ記述で5点の問題と変更になった。
産業と工業の把握は必須。頻出問題なので、工業地域(地帯)ごとと都道府県別の知識は必ず入れておきたい。
問1は上記で解説した通り、比較的基礎的な都道府県の特徴が書かれていたので正解してほしい。

◆大問4(歴史)20点分
〔問1*〕年代ア~エの人物や建物、政治などで時代を把握して解く、並び替え問題です。
ア:「最澄が密教(天台宗)を開いた」とあるので『平安時代初』
イ:「第五代執権=北条時頼」「建長寺を建立=1253年」から『鎌倉時代』
ウ:「勘合を用いて~貿易=勘合貿易1404年から」『室町時代』
エ:「大化の改新=645年」『飛鳥時代』また、中国の当時の国名から時代を把握することも可能ですね。

〔問2記述〕昔の交通
記述問題での鉄則は「誰が読んでも分かるように書く」ことと「お題に沿った内容を書く」です。
まず、少しくどくても丁寧に資料に載っている言葉を使うこと。
・酒田から江戸へ向かう経路は、日本海側の港をぐるりと回り、太平洋側の港も経由して江戸に辿り着くこと。
・荒浜から江戸へ向かう経路は、太平洋側だけの港を周り江戸へ到着する。
・「寄港地には役人を置き~などを行う」とのわざわざ書かれていることから、寄港地で何をしているかも書く。
資料Ⅰの文章を読み、地図Ⅱの港をどのように進んで江戸まで辿り着くかを確認すれば、それぞれの経路の特徴が理解できたかと思います。

〔問3*〕外交
同じ時代のものを組み合わせる問題。こちらは、より詳しい年代を把握していないと並び替えは出来ません。
ア:「日英通商航海条約=日英同盟1902年」→C
イ:「関東大震災=1923年」→D
ウ:「アメリカ合衆国との間に終結した和親条約=1854年」→A
エ:「西南戦争=1877年」→B

〔問4*〕貿易
産業グラフと説明文を組み合わせる問題。年代が分かる単語があれば、その年代を覚えていればすぐに解答できます。
しかし、グラフの説明しか書かれていない場合は、説明とグラフの動きが同じものを探しましょう。
ア:「サンフランシスコ平和条約=1951年」→A
イ:「この時期の最初の年と比較して最後の年では、輸出は約4倍に、輸入は約6倍に増加」=1960と1972を比較すると、「輸出は約4倍に輸入は約6倍に増加」している。→B
ウ:「冷たい冷戦が終結」=1989年→D
エ:「前半は輸出が増加し、後半は急速な円高により輸入は減少から増加傾向に転じた」=前半1973~1980まで輸入が増加しており、後半1980~1983まで輸入が下がり、その後1986~1988で増加している。→C

≪大問4総評≫
大問4に記述問題が出題されたのは2016年度以来、8年ぶりとなる。
2016年度のときと同じ傾向で、地図を読み解く問題。しかし、2016年度より歴史色は薄れており、歴史の知識がなくとも読解力と文章力で解けるようになっていたので、記述だからと嫌がらず解いて欲しかった。
その他の問題は例年通りの出題傾向。歴史は幅広く年代や人物・政治・条例など暗記の必要がある。早い時期からコツコツと努力してもらいたいです。今年は、問3,問4で近代史が選ばれているので、歴史でもチョンマゲ時代が好きな生徒は残念に感じたかもしれませんね。

◆大問5(公民)20点分
〔問1〕平等権
平等権の説明を選ぶ問題。
文章の中に「法の下に平等であって」と書かれているので、イが平等権だということがすぐに分かる。
ア:生存権  ウ:黙秘権  エ:裁判を受ける権利

〔問2*〕税
4択の税と説明を組み合わせる問題。
まずは、Ⅱの文章を読んで「法人税・公債金・所得税、消費税」のどれについて話をしているのか考える。
「間接税」=消費税→ウ この時点で消費税のみが間接税なので、即決してほしい。
または、「段階的に税率が引き上げられた」=3%➡5%(1997年~)➡8%(2014年~)➡10%(2019年~)で勘付いてほしいところ。
次は、A~Dのどのグラフかを決めていく。
Ⅱの文章に「2021年度の再入学は20兆円を超え、1989年に比べて6倍以上になっている。」→C

〔問3〕国際的な合意
資料Ⅰの出来事の時期を資料Ⅱから選ぶ問題。Ⅰの文章を読んで、何について書かれているか考える。
「地球上の誰一人取り残さないことをスローガン」=2015年~、「持続可能でよりよい世界」で、最近よく聞くようになったSDGsについて書かれていることに気付くことが出来れば、消去法でエを選べたと思います。

〔問4記述〕成人年齢
記述問題での鉄則は「誰が読んでも分かるように書く」ことと「お題に沿った内容を書く」です。
まず、少しくどくても丁寧に資料に載っている言葉を使うこと。
「国の若年者に対する期待について」書くことを念頭に置いて資料を読みましょう。
資料Ⅰに「18歳以上の者を~つながる」という文章から、「国づくりの中心」として若年者を扱いたいことが分かる。
資料Ⅱでも「投票権年齢・選挙権年齢・成年年齢満18歳以上にする」という点が改正されている。

≪大問5総評≫
大問5に完答問題が出題されたのは、2013年以来11年ぶりとなる。記述問題以外がマークシートになってからは初めてでした。
問1,問2は、公民の基礎的な知識が入っていれば難しくなかったと思います。
「平等権」や「消費税」に関することは、教科書にも載っているレベルの基本的知識です。
記述問題も、意外と身近なことだったので、書きやすかったと思います。

◆大問6(融合問題)15点分
〔問1*〕歴史+地理
国と日本人の活動を組み合わせる問題。
地図で示している国を最初に確認しましょう。
A=ドイツ  B=フランス  C=イギリス  D=ガーナ
ア:「1789年市民革命」=フランス革命、「ルーブル美術館」=パリ→B
イ:「1871年に統一」=ドイツ帝国→A
ウ:「シェイクスピア」=イギリスの作劇家→C
エ:「熱帯地方」=A~D中で熱帯地方なのはDだけ

〔問2〕歴史+公民
資料Ⅱの文章と資料Ⅰの年代・会議を組み合わせる問題。
資料Ⅱを読むと「世界金融危機と呼ばれる状況に対処」と書かれているので、資料Ⅰのア~エの中で「金融・世界経済に関する首脳会合」とあるので、ウをすぐに選択してほしい。

〔問3〕歴史+地理
資料Ⅱの文章と資料Ⅰのグラフを組み合わせる問題。
まずは、「アジア州・アフリカ州・ヨーロッパ州・南北アメリカ州」のどれについて書かれているか資料Ⅱを読みましょう。
資料Ⅱに「一部の国を除き他国の植民地とされており、民族の分布を考慮しない直線的な境界線が引かれていた」という記述から「アフリカ州」であることが分かります。
「民族の分布を考慮しない直線的な境界線が引かれていた」は中学校の教科書にも載っているレベルの基礎知識なので、絶対に間違えて欲しくないです。【新しい社会地理(東京書籍)】ではP94に書かれています。
グラフⅠのようなグラフは、少し読み取り辛いかもしれませんが、ア~エそれぞれの数値を書き出せば読み間違えないでしょう。
ア:約5(1945)~約55(2020)
イ:約10(1945)~約45(2020)
ウ:約20(1945)~約50(2020)
エ:約25(1945)~約40(2020)
資料Ⅱに「2020年では50か国を超える国が国際連合に加盟している」と書かれているので、アを選ぶ。

≪大問6総評≫
問2が完答問題でなくなったのは、2017年度以来7年ぶりとなる。
しかし、2017年度は問3が記述問題だったので、全く同じ傾向とは言えない。
問1は、「ルーブル美術館」「シェイクスピア」など少し変化球なヒントだったので、歴史的な知識だけでは自信がないと思った生徒もいるのではないでしょうか。
しかし、一度は耳にしたことがある美術館と人物だったので、何とか正解してもらいたい。
地図がヨーロッパに集中していたので、ここはしっかりヒントに自信を持って気付けないと難しかったようにも思います。
問3では、この手のグラフは読み取りにくいので、目で見るだけでなく数字を実グラフに書きこんで解くことが大事です。

≪≪社会総評≫≫
2024年度社会の問題は、以下のような配分となりました。
総問題数20問
*…完答問題 11問
記述…記述問題 3問
完答問題が2023年度より2問多く、記述問題も3問に増えました。
社会にはまだまだ完答問題が多く、どちらか一方を間違えて大きく失点してしまう恐れのある教科です。
暗記することも多いため、早い時期からコツコツ暗記を進めてもらう必要があります。
何がヒントになるかは予測できない為、幅広く時代や人物・出来事・国の特色や権利などを知っておく必要もあります。
でないと、ヒントが散りばめられていることにも気づかず、勘で回答をする羽目になりますよ。
そして今回は記述問題が1問増えたことにより、いつもより時間がかかってしまった生徒もいるのではないでしょうか。
いつものペースを乱されてしまったかもしれませんね。
そのような事態もふまえ、まだマークシートになる前の過去問題に触れる等してみても良いと思います。
2024年度の平均点が6月頃発表予定ですが、完答問題・記述問題が増えたことにより、昨年度より平均点が下がってしまうのではないかと予測します。

以下、過去の平均点と問題配分。
2023年度 平均55.6点
完答問題 9問
記述問題 2問

2022年度 平均49.2点
完答問題 10問
記述問題 2問

2021年度 平均54.6点
完答問題 11問
記述問題 2問 


分析担当 栗林

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