2024都立高校入試分析・解説 国語

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2024都立高校入試分析・解説 国語

2024.02.28 | 受験

2024都立高校入試分析・解説 国語

2024都立高校入試分析・解説 国語
2024年度都立高校入試問題分析・解説

国語



問題・正答表は、東京都教育委員会のHPからご確認頂けます。

・大問1:漢字(読み) 5問×2点


出題形式・難易度共に例年通り。
主に小3~中学学習レベルの漢字で構成された。
⑶「据える」に関しては、正答率にやや開きが出るように感じる。

・大問2:漢字(書き) 5問×2点

出題形式は例年通り。
難易度も大方例年通りではあるが、やや平易になったようにも感じられる。
主に小2~小5学習レベルの漢字で構成された。
多くの受験生が10点満点を取れる内容になっていたのではないだろうか。

〈大問1,2まとめ〉
全体的に難易度は高くなかった
受験生の多くが、20点満点取ることができたのではないだろうか。
目標点に関わらず、失点がないのが理想的である。


・大問3:文学的文章  5問×5点
辻村深月『この夏の星を見る』より

出題形式は例年通り。

〔問1〕
傍線部の表現を問う問題。
傍線部内「あーーーっ!」という声だけでは凛久の心情が読み取れなかったとしても、その次のセリフ「転校、したくねえーなーー!」まで読めば、どんな気持ちで叫んでいたのかは想像がつくだろう。
観測の余韻を残す夜空と凛久の声を対照的に描く、転校を受け止めきれず衝動に駆られる様子、という点を踏まえて選択肢アを答えとする。
その他の選択肢を見ても、それほど悩むものはなかったように感じる。

〔問2〕
傍線部の表現から読み取れる登場人物の様子について問う問題。
傍線部8行前辺りから傍線部後5行目辺りまでに目を向け、会話や様子の流れを踏まえた上で、選択肢ア、イ、ウ、エ、それぞれの文末を比較すると答えはすぐに決められたのではないだろうか。

〔問3〕
登場人物の気持ちを問う問題。
傍線部直後の2文が亜紗の気持ちを非常に分かりやすく表している。
選択肢内の文を読点で前後半に区切ると、アの前半は正解のように見えるが、後半部分が本文内容からは読み取ることができない内容になっているので、前後半どちらも該当するエを答えとする。

〔問4〕
発言の理由を問う問題。
本文中に明確に理由が書かれているわけではないが、傍線部後に「卒業しちゃうけど、みんながずっと私のことも仲間だと思ってくれてるって、信じています。」とあることを踏まえて、選択肢イを答えとする。その他の選択肢は明らかに文意と異なると気が付けたのではないだろうか。

〔問5〕
傍線部の表現から読み取れる登場人物の様子について問う問題。
ここは、すんなり答えが決まらない受験生もいたかもしれない。選択肢イ、エは明らかに違うとすぐに判断できただろう。ただ、ウの「全国の参加者がISSを観測できたか心配であったが、」という箇所に該当する内容も本文には書かれていないという点を踏まえてアを答えとする。

〈大問3まとめ〉
表現や登場人物の心情、様子に関する問題が出題された。
いずれも場面の背景を理解し、本文の内容・登場人物たちの様子を正確に読み取ることができていれば、
あまり深く悩むことなく4択の中から答えを導き出すことはできたのではないかと感じる。
大問1、2の漢字同様、あまり失点してほしくない箇所ではある。


・大問4:説明的文章  4問×5点
            200字作文 10点

長谷川眞理子『進化的人間考』(一部改変)より

出題形式は例年通り。

〔問1〕
傍線部の内容を問う問題。
直後の「つまり~ということだ。」という表現に気が付ければ、その先が答えに繋がると理解し、選択肢エを答えとすることができたであろう。
それに気が付かず、傍線部内の「今こうやって描写したのが、」という言葉から、前の第4段落・5段落辺りに目を向けてしまうとア、イ、ウ、エのどれが言い換えになっているのか判断するのに苦労したのではないだろうか。

〔問2〕
文章構成における段落の役割について問う問題。
選択肢ア、イ、ウ、エいずれも、最初の読点までは同一の内容となっているので、それ以降の正誤を確認してゆく必要があった。
まず、第11段落の始まりが「そこで」となっていることで、論の展開を図ろうとしているということに気が付けたかどうかは重要なポイントとなっただろう。
そこで気が付けなくとも、前の第10段落までの「ヒト」の言語の進化に対して「チンパンジー」を対比に出し論の展開を図っていることが分かれば、選択肢アを答えとすることができたであろう。

〔問3〕
筆者が述べた内容の理由を問う問題。
この問題は、傍線部内の「このため」が何を指しているかを考え、第13段落内冒頭から5行目までの内容に注目することができれば、接続詞「しかし」の前後内容と一致する選択肢ウを答えとすることができたのではないだろうか。
アの内容は、読点までの前半部分は本文内容と一致しているが、後半の内容が異なるため答えとはならない。慎重に確認ができたかどうか、ということが重要であったと感じる。

〔問4〕
筆者が述べた内容の理由を問う問題。
この問題は、やや答えが選びづらかったのではないだろうかと感じる。
傍線部内の「それは」が何を指しているのかを考え、第18段落の内容全体に注目することができていれば、選択肢イを答えとすることができたのではないだろうか。
ただ、傍線部以降の第19段落に目を向け、ウを答えとして選んだ受験生も少なからずいたのではないかと考える。
指示語、の指す内容を正確に捉える力が試される問題であった。

〔問5〕
今年度も変わらず200字作文が課題となった。
テーマは「互いの思いを一致させること」であった。これについて筆者は、本文内最後の一文で考えを述べている。比較的分かりやすく書かれていたため、多くの受験生が筆者の主張に容易に気が付くことができたはずだ。
その点を踏まえると、例年より、何を書くべきか理解しやすい内容となったのではないかと感じる。
書き進める際、以下の3点に気を配る必要があった。( )内は凡その点数配分。

・自分の意見・主張を明らかにする(4点)
・筆者の主張を踏まえる(3点)
・具体的な体験・見聞を含める(3点)


誤字脱字や句読点間違え、論旨に一貫性がないことなどは、減点対象となるため細心の注意を払うべきである。

過去問演習の段階で、「自分の具体的な体験や見聞」を書く際、与えられたテーマに合う体験がどのようなものか、決めかねる様子を度々目にしてきた。
普段、自分の身に起こる出来事にもう少し関心を持って過ごすことが必要であると感じる場面が多くあった。

〈大問4まとめ〉
本文中の指示語や接続語に敏感に反応し、答えを探すヒントとして上手く活用できたかどうか、という点が点数を左右したのではないだろうか。
問1,2,3は、どの受験生にも正解してきてほしい難易度の問題であった。
問4に関しては、正答率にはやや開きが出るように感じるが、80点以上を目指す受験生には正解していてほしい問題ではあった。


・大問5:古典を引用した読解 5問×5点

【A】 久保田淳、俵万智『百人一首 言葉に出会う楽しみ』より
【B】 馬場あき子『埋れ木の歌人』より
【C】 高橋和彦『無名抄全解』より

出題形式はほぼ例年通り。
本文は【A】【B】【C】の3部構成となった。

〔問1〕
【A】【B】それぞれで述べられた傍線部分の内容の特徴を説明したものについて問う問題。
どちらも「擬作」という言葉が本文中のどの内容を指すか、ということが理解できていれば選択肢イを答えとすることができたであろう。
【A】の方では、傍線部分に加え本文17行目から19行目までの内容を踏まえて、【B】の方では、傍線部分「つまり、」以降を踏まえて答えを探す必要があった。
この問題は、傍線部を素直に読み取ることができていれば、問題なく解くことができたのではないだろうか。

〔問2〕
傍線部内の言葉の説明として適切なものを問う問題。
この問題は、傍線部直後の2文に注目することで答えに辿り着くことができたであろう。
これは即座に答えを決めてほしい問題であった。
傍線部の「そういう」という言葉から前部分に注目した可能性もあるが、傍線部以降が、短歌の場合、に絞りこんで書かれていることに気が付くことができれば修正できたであろう。

〔問3〕
対談内における話者の発言の役割を問う問題。
この問題は、設問の中心となっている発言に加え、次の発言者の冒頭部分「そうなのでしょうね。やはりストックでしょうね。」まで確認し共通理解があることを認識することで、選択肢アを答えとすることができたのではないだろうか。
選択肢ア、イ、ウ、エのいずれも、直前の発言を受けて、という前置きは同様であったため、それ以降の内容の正誤を確認する必要があったが、それほど悩む内容はなかったように感じる。

〔問4〕
【C】の原文において、本文中の表現に相当する部分を問う問題。
ここではまず、【C】の原文後ろにつく現代語訳を見ていく必要があった。その中の「これからあとの責任はすべてあなたにお掛けしますよ」という部分が、傍線部を含む内容と一致することを確認し、そこに該当する部分を原文から探してゆくと、「責任」という言葉はなかったが、その直前につく「あとの」に当たる言葉があることからその直後が傍線部に相当する、ということが分かる。この点を踏まえると、選択肢エを答えとすることができたであろう。
原文のみでなく、現代語訳を上手く活用することで素早く且つ正確な答えを導き出すことができたのではないだろうか。

〔問5〕
助詞「が」の意味・用法を問う問題。
ここ数年助詞に関する問題が問5にくる傾向にあったが、今年度も同様のレベルで出題された。
格助詞と接続助詞を見分ける力が必要とされた。それに気が付くことができれば、明らかに選択肢イがア、ウ、エと異なると分かっただろう。
ただ、仮に文法知識がなくとも、「が」の直前につく言葉の違いに気が付くことができれば正解に辿り着けたのではないだろうか。
文法問題であるため、一見知識がなくては難しい問題、とも受け取れるが、柔軟に考えることで対応できる問題であった。

〈大問5まとめ〉
例年に比べ、【A】【B】の文、それから各問の難易度があまり高くなかったように感じる。本文と問題文を順当に正確に読み解いていれば、どの問題にも対応できただろう。
あまり失点がないのが望ましい。
問4,5に関しては、ただ本文を読むだけでは答えを導き出すことは難しかったと思うが、過去問演習の時から練習を重ねていた受験生は考えを柔軟に持つことができたのではないだろうか。


《2024年度総評》
全体を通して、難易度は昨年度同様レベルとなった。
本文、問題文に関わらず、「与えられた文」を正しく読み取ることできれば、それほど苦労する問題はなかったように思う。
例年通り、各々の持つ「読解力」がどれほどであるか、を問われる問題ばかりであったように思う。


担当  寄田


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